■■■ 心臓不整脈治療薬服薬指導 【疾患名】MP 心臓不整脈(Cardiac Arrhythmias) 【有病率】MP 記載なし 【好発層】MP 記載なし 【予後】MP 記載なし 【概要と成因】 NP 不整脈の成立   @刺激生成異常    1.ペースメーカーである洞結節の異常   →洞性頻脈,洞性徐脈,洞性不整脈    2.それ以外の部位から自発興奮が生じる   →異所性刺激生成   :先行の活動電位が引き金になって発生 triggered activity   A興奮伝導異常    1.伝導の遅延  2.伝導のブロック    3.興奮の再侵入(リエントリー)   B @Aの同時発生 【分類と症状】 MP @洞性不整脈    洞結節からの刺激発生が不規則(P波が不規則に出現)   1.呼吸性洞性不整脈:少年期,思春期,老年期 →治療不要  2.非呼吸性洞性不整脈:自律神経系の変化,洞結節の器質的変化   A洞性頻脈(老人では起こりにくい)    正常P波 脈拍数>110/分    1.呼吸や不安などの精神的感動   2.心拍出量需要の増大    3.薬物効果:エピネフリン,イソプロテレノール,アトロピン,ジギタリス   4.疾病:心原性ショック,心不全,ハイポキシア,心筋梗塞,心筋炎,心外膜炎 脳幹部の脳出血   B発作性上室性頻拍症    (PSVT:paroxysmal supraventricular tachycardia)   1.WPW症候群:心房から心室への刺激伝導の際,興奮が早期に副伝導路(Kent 束)を通って心室に達し,心室の一部を早期に興奮させる.   2.房室結節性リエントリー   C発作性心室性頻拍症    1.自動能の亢進,リエントリー,triggered activity  2.器質的心疾患のないものは良好だが,あるものは心室細動に移行→急死のこと あり   D発作性心房細動(PAF:paroxysmal atrial fibrillation),発作性心房粗動    1.WPW症侯群で起こることがある ##  2.原因不明   E慢性心房細動    心房粗動 頻度は心房細動の1/10以下,原因疾患として高血圧,虚血性心疾患 ,リウマチ性弁膜症,甲状腺機能亢進症   F心室粗細動 短時間で死に至る.   心室粗動:心室波 180〜250/分   心室細動:振幅や周期が不整   重症心機能不全の終末像の時→死        心筋梗塞急性期,心臓カテーテル検査時→蘇生後良好   G上室性期外収縮(SVPC)   H心室性期外収縮(VPC)   I伝導障害(ブロック)   1度のブロック  2度T型のブロック     U型のブロック     3度のブロック  房室ブロック ・AHブロックは房室結節異常→アトロピンやイソプロテレノールによく反 応      ・HVブロックはヒス・プルキンエ系の障害→ペースメーカに頼る      洞房ブロック→洞不全症候群参照  〈Rubensteinの分類〉   洞不全症候群(SSS:sick sinus syndrome) 洞結節機能不全による不整脈,眩暈や失神発作を惹起   @持続性かつ高度の洞徐脈(50/分以下)   A洞停止あるいは洞房ブロック   B徐脈頻脈症候群    洞結節機能不全による徐脈性不性脈に発作性頻拍が併存する 【治療薬剤の分類と特徴】MP&MG 〔 Vaughan Williams分類 〕     〈薬剤名〉             〈分類と特徴〉      @ジソピラミド(リスモダン)  Ta 心室性,上室性   Aプロカインアミド(アミサリン)   局麻,APD 延長   Bキニジン(硫酸キニジン)      (APD:活動電位持続時間)   Cアジマリン(ギルリトマール)   Dアプリンジン(アスペノン)                   Eリドカイン(キシロカイン)     Tb 心室性  Fメキシレチン(メキシチール)        局麻,APD 短縮   Gフェニトイン(アレビアチン)                  Hプロパフェノン(プロノン)     Tc   局麻,APD 不変   Iプロプラノロール(インデラル)   U β−ブロッカー   Jピンドロール(カルビスケン,ブロクリンL)   Kメトプロロール(セロケン,ロプレソール)   Lラベタロール(トランデート)   Mアテノロール(テノーミン)                   Nアミオダロン(商品化されていない) V APD 延長        Oベラパミル(ワソラン)       W Ca拮抗薬  Pジルチアム(ヘルベッサー)   Qニカルピジン(ペルジピン,ニコデール)           ## DはTb にも分類される 【禁忌の薬(理由)】 ME @塩酸メチルフェニデート(頻脈の副作用あり)   Aスプリフェン塩酸塩ヌクレオシド(β刺激作用) 【合併症と対策】 MP @心房細動では血栓塞栓(脳塞栓など)   →抗血小板薬やときには抗凝固剤(ワーファリン)を投与.   A心房粗動では心不全に至ることがある.    →ジギタリス剤を投与. 【生活指導】 MP 病気の誘因が過労,精神的緊張,飲酒,喫煙であるようなら避けるようにする. 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 MP @発作性頻脈症→直流通電,胸壁叩打法,迷走神経緊張法,ペーシング法,抗頻拍 型ペースメーカー植込み,外科手術.   A心房細動→電気的除細動   B伝導障害→ペースメーカー療法   C洞不全症侯群→ペースメーカー療法 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 JL 心電図 【疾病に関する用語】   APD:活動電位持続時間 【メモ】 【参考文献】 ## Doctor's Advice